研究概要 |
本年度においては,2次元圧縮性一様等方性乱流の直接数値シミュレーションを実施した.基礎方程式は圧縮性ナビェ・ストークス方程式であり,それに対する数値計算法として高次精度線の方法を採用した.高次精度線の方法は空間微分項と時間微分項とを別個に取り扱う線の方法に立脚した数値計算法であり,空間微分項の離散化には研究代表者等が考案した1つのパラメータを変化させることで任意の空間精度得られる修正微分求積法を採用し,その結果得られる時間に関する連立常微分方程式の積分には3段階でありながら4次精度を有する縮退ルング・クッタ法を用いる計算効率の高い数値計算法である.最初に,本手法を用いて2次元圧縮性一様等方性乱流の4つのカテゴリー,すなわち,(1)準非圧縮性乱流,(2)無衝撃波乱流,(3)弱衝撃波乱流,及び(4)強衝撃波乱流,が再現可能かどうかを数値シミュレーションにより確認した.その結果,初期マッハ数及び初期の密度変動値により上記の4つのカテゴリーの圧縮性乱流を再現することが可能であることを確認した.さらに,弱衝撃波乱流においては,衝撃波形成はエネルギ変換によって内部エネルギからもたらされる圧縮性運動エネルギに対して卓越することにより行われ,強衝撃波乱流においては,渦運動により流体が加速されることにより衝撃波が形成されることを見いだした.この結果を基にして遷音速域における圧縮性一様等方性乱流の基礎的な数値シミュレーションを行い,マッハ数の変化による衝撃波形成のメカニズムも基本的にはマッハ数の上昇に伴い弱衝撃波乱流型から強衝撃波乱流型に移行することが判明した.
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