研究概要 |
本年度においては,昨年度開発した高次精度線の方法を用いた3次元非圧縮性ナビェ・ストークスコードにより3次元一様等方性乱流の直接数値シミュレーションを実施した.使用した格子点数は64×64×64(エンジニアリングワークステーションのメモリ容量の限界からこの格子点数が上限)であり,初期のレイノルズ数は43程度と低レイノルズ数領域で行った.その結果,剪断層の発達による渦の細分化の過程が明確に捉えられ,本研究で開発を行った数値計算コードの信頼性が確立された.さらに,圧縮性乱流の直接数値シミュレーションにおいては,2次元一様等方性乱流を対象として,昨年度に引き続き直接数値シミュレーション結果に対するエネルギ力学的考察を行った.その結果,運動エネルギ輸送方程式中の移流項は圧縮性成分と非圧縮性成分が相殺するためエネルギ収支には影響しないこと,圧力項並びに粘性項は圧縮性成分が支配的であるが,絶対値は圧力項が粘性項の約10倍となるため,結果的に圧力項が最もエネルギ収支に影響を及ぼすことが確認された.一方,非スタガード差分法を用いた直接数値シミュレーションにおいては,昨年度開発した数値計算コードを一般曲線座標に拡張し,その数値計算コードの評価・検証を円柱まわりの流れに対して実施した.その結果,本非スタガード差分法は曲線座標においても毎時間ステップ連続の式を満足し,圧力振動をも引き起こさないことが確認された.
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