本年度の研究実績の概要は次の通りである。 1.現有の高速鉄道トンネル波動シミュレーターを改造し、圧力波発生用の急速開口弁を用いて高速気流発生装置を製作した。 2.測定部を高速列車モデルが挿入できるように改造し、圧力波発生用及び高速気流発生用急速開口弁の開口弁加速度、開口時間、弁の前後の圧力比などの実験条件を変化させ圧力波及び高速気流を発生させる実験を行った。その結果、任意の強さの空力抵抗変動現象をシミュレートさせるための必要な波動発生方法に関する基礎資料を得た。 3.高速列車トンネル波動シミュレーターの測定部に設置した列車モデルの周りの圧力変動を実験測定した。その結果、列車の先頭部にかかる圧力抵抗の変動の基礎的データを得た。 4.レーザ差動干渉計を圧縮波が誘起する非定常流れの境界層の測定に用いるために、測定部の中央部分に光学窓を設計製作し、列車上面部の流れ場の非定常境界層内の密度変動の測定に関する実験を行った。その結果、圧力波により誘起される非定常境界層内の微小密度変動分布の基礎的データを得た。 5.以上の結果に基づき、列車の断面が干渉する圧力波の波面の幅や圧力波の波面の最大圧力勾配に与える影響や、反射波と通過波の強さなどに与える影響について明らかにした。 6.特性曲線法を用いた差分数値計算により、高速列車のトンネル内すれ違い時に生じる空力抵抗変動現象の数値シミュレーションを行った。その結果、空力抵抗の最小値は列車のすれ違い時に生じ、その絶対値は列車速度の増加とともに増加し、最大値より大きいことが明らかになった。
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