本研究は計画通り順調に進んでいるが、最終的な結果はまだ出ていない。現在の研究実績の概要は以下のように纏められる。 1.実験的研究 (1)実験装置の製作と検定 a.粒子群の乱流気流中での静止浮遊装置の設計と製作 b.管内固気二相流パイプラインの設計と組み立て c.レーザー流速計用トラバース装置の設計と製作 d.レーザー流速計とこれに関する実験装置の調整と検定は計画通り終了した。 (2)乱流気流中の粒子群の抗力の測定と管内固気二相流の測定 a.管内固気二相乱流における気流と粒子の流れ場の測定 b.管内固気二相乱流における粒子濃度と粒径の測定と分析 c.静止浮遊装置における乱流気流中の粒子群の抗力と粒子周りの流れ場の測定は実験中である。 2.理論的研究 本研究の理論的検証は静止浮遊装置による粒子群の抗力に関する実験データを管内固気二相流の粒子群の軌道計算に使用し、その結果を管内固気二相流の実験結果と比較することによって行う。粒子軌道の計算プログラムと気流のみの計算プログラムは完成しているが、固気相互作用の乱流計算モデルは研究中である。乱流気流中で粒子レイノルズ数が1から1000までの範囲の固気相互作用の計算モデルは少ない。本研究の粗大粒子(粒子径>0.5mm)はこの範囲であり、本研究の相互作用モデルはこの範囲に着目している。 3.得られた結果と今後の問題(1)粗大粒子の水平管内固気二相流において、気流の軸方向速度は管底で小さく、上部で大きくなるが、粒子の速度はほぼ直線的な分布であり、管底に向かって増加する傾向を示している。これは管底では粒子濃度が高いこと、そして粒子群では粒子の抗力係数が高いことにその一因があると考察している。(2)管内固気二相流で重要な空隙率が0.95以上の高い場合の研究は少ないので、この場合の測定を十分に行う。
|