抵抗低減剤の被覆の効果について調べるため、チャンネル流路(断面10mm×100mm)に対して実験を行った。抵抗低減剤としては、高分子添加剤と界面活性剤を用いた。高分子添加剤は被覆を厚くすると流体中に均一に溶解せず、その皮膜が壁面からはがれてしまうため十分長時間に渡る計測ができなかった。高分子添加剤の被覆方法については次年度に引き続いて検討を続ける。界面活性剤についてはつなぎに澱粉糊などを加えることにより比較的長時間抵抗低減効果を持続させることができた。このときの低減率は実験開始時の20〜30%をピークにその後徐々に数%程度まで減少した。被覆した抵抗低減剤の流体中への溶解度を調べるため交流偏調させたHe-Neレーザービームを透明アクリル製のチャンネル壁面を貫通させ、そのビーム光量から壁面に残存する被覆抵抗低減剤の量を測定した。その結果、この抵抗低減剤の壁面残存量が減少する経時変化は抵抗低減率が減少する経時変化とほぼ一致することがわかった。測定された抵抗低減は被覆抵抗低減剤の流体中への溶解によって生ずると推測されるが、用いた界面活性剤を溶液として使用したときには、低濃度の場合でも60%以上の極めて高い抵抗低減率を示すことから、被覆・溶解によって達成される抵抗低減は均一な溶液による抵抗低減とは異なる機構によって生じている可能性もある。この点については次年度に更に検討を続ける計画である。 リブレットについては溝間隔0.2mmの60°三角溝からなるリブレットを試作し、単独使用時に7〜8%の抵抗低減率が得られた。リブレットの試作が遅れたため、リブレットと被覆抵抗低減剤との複合効果についてはまだ報告すべき結果が得られておらず、現在その実験を行っている。 内部流の次に、外部流における抵抗低減剤の被覆及びリブレットとの複合効果を調べるため、予定を繰り上げてアクリル製平板モデル(400mm×1800mm)を試作した。次年度にはこのモデルを用いて外部流への応用も研究する計画である。
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