研究概要 |
本研究では負失速したタービン翼列の非定常空力特性を数値解析および実験によって調べる計画である. 代表的翼列として翼入口角0°,翼出口角59.1°のノズル翼列を選定し,風洞実験用翼型(翼弦長36.8mm,翼スパン50mm ; 圧力分布測定唾2枚,普通翼6枚)を製作した.これらの翼を既存の二次元翼列風洞に取り付け,測定の準備を進めると共に試運転を行った.計測は翼面圧力分布および後流の定常計測のほか,熱線風速計および動的ピト-管により翼前縁剥離流および翼後流の非定常計測を行う予定である. 数値解析に関しては,振動する圧縮機翼列向けの非定常流解析プログラムをタービン翼列用に改修の上,上記翼型から成る翼列の非定常流解析を行った.最初にこの翼列が制止している場合に、初期優乱を与えて、翼列を通る流れの応答を広い入射角範囲に対して計算した.その結果この翼列は入射角約-30°において負失速することがわかった。 従って,今度の数値解析は主として入射角-30(これは翼列が深く負失速している入射角の代表として選んだ値である)において行うとことにし、翼列中の各翼が微小角振幅で振動する場合の非定常空力性能を解析する作業に着手した.現在のところ,得られた計算結果はまだ少数であるが,タービン翼列の負失速の場合翼前縁から放出される剥離渦の挙動は圧縮機翼列の場合とは非常に異なることがわかっており,これはタービン翼列の非定常空力特性にかなり異なった効果を与えるものと考えられる.
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