既存の「せん断流中の翼に関する3次元理論」における主流の速度分布を、解法の提案のためのモデルである断片的直線せん断流から、実用的な一例としての乱流境界層の速度分布である7分の1乗べき法則に従うせん断流に拡張した。すなわち、翼幅方向の流れ問題に対するスツルム・リュウヴィル型の固有値問題を設定し、その常微分方程式を離散化によって差分方程式に帰着させ、これを翼幅方向に分割した各小区間に適用しかつ離散化した境界条件を考慮することにより固有値方程式を誘導した。固有値方程式はQR法によって解かれ、さらに漸化式として使用することにより固有関数の値を算出し、これを正規化し、その数値積分によりスペクトラムを求めた。これらと既存の翼断面の準2次元理論の解との線形結合によって空洞のない平板翼と円弧翼について、揚力に関する3次元効果が明らかにされた。当初予想されていた困難さにも関わらず予定通りに進行している。
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