解法の提案のためのモデルである断片的直線せん断流の速度分布を対象とした「せん断流中の翼に関する3次元理論」における主流の速度分布を、実用的な一例としての乱流境界層の速度分布である7分の1乗べき法則に従う速度分布に拡張した理論の構成に成功し、これは「平行壁間に置かれた3次元翼の簡便解析法」というテーマでターボ機械協会誌にオリジナルな論文として掲載された。その後、キャビテーションを伴う翼形の既存の実験的成果を収集し、これらを解析、整理し、計算の対象にする代表的な翼形として欠円翼形を選定した。選定された翼形に対して、申請者により既に提案されている2種類の特異点解法によってキャビテーション現象を伴う2次元翼の特性解析を行った。これらの解析結果は3次元せん断流効果を知るための比較対照としてこのままの形で利用されるが、これらの2種類の特異点解法は、3次元せん断流効果を考慮する形に理論的に拡張されなければならない。このために理論式の展開からプログラムの作成までの作業が残されている。これらの結果が得られると前述の理論により既に得らた解との結合によって、最終的な3次元効果が求められる。
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