研究概要 |
本研究は,高温乾燥岩体の亀裂面隙間流路からの,水による熱エネルギ抽出技術に関連し,伝熱工学的観点からの人工亀裂面の技術評価に資する目的をもって計画され,実験的考察と数値解析の両面から行われている. すなわち,高温乾燥岩体で構成された,断面形状一定の長い流路を流動する熱媒体が要求される抽出熱量を得るに要する亀裂面のサイズ,または,亀裂面のサイズが定まっているとき,得られる抽出熱量の予測,に適用し得る基礎的データを提示することである. 平成8年度の進捗状況ならびに実績は以下のとおりである. 実験的考察について:厚さ20mmの花崗岩板試料を伝熱面とし,ガラス板との間に300mm×150mm×1mmの平行隙間流路を構成するテストセクション並びに実験ループを用いて,定常法による等熱流束条件の実験を行った.ある一定流入温度に対して,熱媒体流量・岩板温度を数段階に変え,それぞれの条件における,平均熱伝達率・流れに沿う岩板の表面温度分布並びに熱伝達率分布・岩板内部の温度勾配等のデータを採取している.さらに,これらの実験値から得られる花崗岩板の熱伝導率の温度依存性について考察を加えている. 数値解析について:亀裂面隙間流路における高温乾燥岩体からの熱伝達特性を2次元非定常強制対流熱伝達問題として取り扱う.解析手法は有限体積法による陽解法により,流路及び乾燥岩体の内部温度分布を同時に計算する.解析モデルは実験と同じスケールを与え,物性値は一定,速度場は十分発達していると仮定している.計算結果は実験データを説明できる妥当なデータが得られた.今後は,より現実的なスケールのモデルを解析するため,座標系・格子のとり方・物性値の温度依存性等を考慮した解析モデルへの改良が必要となる.
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