研究課題/領域番号 |
07650234
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
梅村 章 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60134152)
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研究分担者 |
賈 為 山形大学, 工学部, 講師 (10235799)
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キーワード | 超臨界 / 熱・流体カプリング / 超圧縮性 / 液体ジェット / 微粒化 / 混合 / 流れの不安定性 / 相変化 |
研究概要 |
超臨界噴霧燃焼の特徴は、蒸発過程で現れる噴射液および微粒化された霧滴の表面の近傍で起きる特異な現象によってもたらされ、その解明には、噴射液および液滴が遭遇する流体力学的条件下での近臨界界面の挙動を知ることが第一である。最終年度の本研究では、超臨界雰囲気中に噴射された液体燃料の微粒化・気化・混合特性を線形安定性解析とTVDスキームによる数値計算によって調べた。近臨界流れの線形安定性解析によって次の予測を得た。 (1)表面張力の低下はレーリーの不安定性が有効に効く液柱寸法を縮小し、その不安定性の発現には前段階での高波数の空力的不安定波の出現が必要である。従って、ノズル近傍の噴射液表面が、この条件を満たすかどうかが微粒化のためには重要である。(2)噴射速度が大きければ、燃料の気化・拡散時間に比べて流体力学的特性時間は十分短いので、熱物質輸送現象を局所的に凍結してジェット流の不安定性の発展を調べることができる。ジェット境界の剪断層の厚みが薄い場合の解析結果は、連続的相変化への遷移が起きる条件で不安定性が極大化することを示しており、表面張力と共に蒸発に関連した密度変化が重要な役割を果たしていることがわかった。さらに、(3)臨界点近傍で種々の熱物性値が特異な挙動を示す。音速も同様で、密度の高い噴出液体の音速の方が周囲の気体の音速より低くなる。そのため近臨界流体の計算では圧縮性の考慮が不可欠であることをTVD計算によって実証した。超音速流は(加速するには膨張させなければならないので)低密度の気体に対して実現し、マッハ数が高くてもレイノルズ数は比較的低いのが普通である。高密度の近臨界流体は、マッハ数とレイノルズ数が共に大きな値を取り得る新しいタイプの流れである。
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