研究概要 |
本研究の目的は,過重力場における火炎の安定性を詳細に調べることである.重力加速度の増加に伴って火炎による自然対流が強化され,吹き消えの生じる条件が変化するものと考えられるので,燃料組成や燃焼方式を様々に変えた場合に重力加速度と火炎の安定性との関連を究明する.平成7年度の研究はおおむね当初の予定通りに進めることができた.明らかになった点は以下の通りである. (1)ガス拡散火炎の安定性に及ぼす過重力場の影響 既存の遠心式加速装置を用いて地球上の重力場(1G)から過重力場(最高15G)までの重力環境で火炎形状の変化を調べた.これによって,重力加速度が増加すると火炎長さが短くなり,火炎基部の青炎部分が伸びることが確認できた.燃料の噴出速度や組成を様々に変化させた実験でもこの傾向は同様であった.このことから重力場の増加が火炎内への空気導入量を増加させていることが考えられた.また,重力加速度が増大すると火炎の振動が観察されるようになり,さらに増加すると吹き消えが生じることがわかった。一般に,重力加速度の増加が火炎を不安定にすることが確認できた。 (2)燃料液滴火炎の安定性に及ぼす過重力場の影響 過重力場における液体燃料の燃焼現象の基礎実験として液滴の燃焼挙動を観察し,火炎の安定性に及ぼす重力加速度の影響を調べた.上記のガス拡散火炎との対比を行い,この場合には,重力加速度の増加に伴い火炎長さが増加することが明らかになった.これより,燃焼形態によって火炎特性に及ぼす重力の効果が異なることが明らかになった。
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