蛍光粒子をシ-ドとして用いるLDVによって、固気二相流の添加粒子の速度と温度を同時に計測するシステムの構築を目的として、研究計画の初年度にあたる本年度は、温度情報の取得を確実に行うための光学系の構築と、シ-ド粒子として用いる蛍光体の特性に関する基礎的な検討を行った。 (1)温度情報の取得を確実に行う光学系の構築:蛍光シ-ド粒子を用いたLDVでは、粒子の温度情報はシ-ド粒子からの蛍光寿命の温度依存性として計測されるが、これを定量的に評価するためには、蛍光と励起レーザ光による散乱光とを確実に分離することが必要である。そこで小型分光器を新たに取得して、散乱光と蛍光とを分光分離し、両者を確実に評価する光学系を構築した。シ-ド粒子からの蛍光は比較的広い波長範囲を有し、そのすべてを分光器によって評価することはできないが、励起レーザ光が単波長であることを利用すれば、散乱光と蛍光との分離は比較的容易に行えることが明らかとなった。ただしシ-ド粒子からの蛍光の温度依存性は、蛍光の波長よって若干異なる性質を有しており、どの波長域の蛍光を測定するかによって評価される温度の精度が変化することも示された。 (2)シ-ド粒子としての蛍光体の特性:蛍光シ-ド粒子を用いたLDVによって温度を高精度に評価するためには、温度測定範囲において蛍光寿命が大きく変化する蛍光体をシ-ド粒子として使用することが不可欠である。そこで短パルスレーザであるエキシマレーザ(別費目で取得)を用いていくつかの蛍光材料の寿命の温度特性を評価した。さらに放射される蛍光の波長による蛍光寿命の温度特性の違いについての検討を進めた。
|