研究概要 |
本研究では,生成したオゾンを選択的に放電場から除去し,かつ除熱を効果的に行うことにより生成効率を飛躍的に向上させることを目的として,遠心分離に原理に基づくオゾンの選択的分離のトリガー(第一段階)と,これに引き続くテーラー不安定による分離促進(第二段階)を応用することを考えた.そこで,静止した外円筒水冷細管電極群と同心に誘電体(ガラス)に覆われた内円筒電極を設置し,後者を高速回転させて,内側から酸素を供給した.すなわち,酸素原料によるオゾン生成反応では,分子の種類としては酸素とオゾンだけであり,分子量(密度)も1.5倍異なるので,遠心加速度による自由対流が生じて選択的にオゾンの外周方向への運動が生じると同時に,外円筒水冷細管電極群を静止させておくと,テーラー不安定によりオゾンの外周方向への運動が助長されてテーラー渦的な流動により外円筒水冷細管電極群での対流促進の効果も生じることを意図したものである.実験では,電極形状として2種類(細管群構造と4極スルーホール構造)用意し,酸素流量,内円筒回転数,電源周波数を体系的に変化させて,オゾン濃度とオゾン収率を測定した.この結果,4極スルーホール構造電極では,内円筒回転により,静止した場合に比べて最大1.5倍程度の増加が確認された.これに対し,細管電極では,周囲への発散が容易なため,回転による性能向上はわずかであった.いずれの場合も電極の強制冷却を行わない状態では,従来の性能を越えるまでには至っていないが,今後,最適化を図ることにより,さらなる性能向上の手がかりをつかんだ.
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