研究概要 |
本年は、当初の研究計画どおり、プラズマジェット法について調べた。まず、ノッキングを発生しやすい条件で急速圧縮機によりピストン圧縮されたガスが、1.単に断熱圧縮されて自着火する場合、2.断熱圧縮後、通常点火する、3.断熱圧縮後プラズマジェット点火する、という4条件について、断熱圧縮後それぞれの点火までの時間と冷炎発生までの様子を調べた。まず冷炎に特徴的な発光現象を調べ、1.,2.,3.の条件の違いは観察されなかった。すなわち、定性的にいずれの場合も同様の冷炎発生過程を経ることが明らかとなった。次に、Livengood-Wuの提案した、反応速度式を時間で積分して青炎発生時期の推定法をここに適用するために、アルレニウスの速度式に現れる定数を、これまでの同種の実験結果より相当に精度良く求めた。この速度定数を使って2.,3.の条件の燃焼室内の温度、圧力を用いて冷炎発生までの積分値を求めたところ、その値は条件によらずほぼ一定値となり、反応速度定数が自着火からプラズマジェット点火をした場合まで同じである、すなわち反応機構は同じであることが定量的にも確かめられた。すなわち、プラズマジェット点火は活性種を大量に散布して燃焼速度を上昇させるという、開発者らの見解を、これまでに常温の燃焼器で調べてきたが、活性基が非常に重要な役を果たすと言われている冷炎条件でも、影響が無いことを示されたわけである。この結果は、3rd Asia-Pacific International Symposium on Combustion and Enegy Utilizationに公表した。また、この発表の後に得た結果をもとに次の公表の準備中である。さらに、現在は来年計画している本来の目的の水素ジェット点火による影響を調べるため、水素ジェットキャビティーと噴出ノズルの製作に入っている。
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