研究概要 |
本研究の目的は,炭化水素燃料を使用する種々の燃焼装置において燃焼改善策を探索したり,新たな燃焼器の開発に役立つ新計測法およびその装置化の可能性を調べることである.炭化水素燃料における炭素-水素結合の伸縮振動に基づく赤外線吸収にコンピュータトモグラフィ法(CT法)を組み合わせて気化燃料の空間濃度分布を測定するための試験装置の試作と本装置を燃焼場に適用しそれを評価することである.これによりエンジンやボイラーなどから排出されるCO_2やNO_xの低減ができ,環境保全ならびに省エネルギ化を図ることができる. 平成9年度は本研究の最終年度に当たり,前年度に続き濃度の定量化を中心に研究した.ボイラーやガスタービンエンジン,スターリングエンジンのような定常燃焼場への応用を考慮し,燃焼温度が赤外線の吸収係数に及ぼす影響を検討した.燃焼温度の上昇に伴い吸収係数が指数関数的に減少するため,第1近似としてこの実験結果を指数関数で近似した.拡散燃焼場と予混合燃焼場において,熱電対を用い温度分布を予め計測しておき,計測された線吸収係数(燃料濃度と吸収係数の積)のCT分布結果に関数近似による吸収係数を当てはめ濃度の空間分布を求めた. 拡散燃焼場の実験結果から,測定値にはまだ5%〜15%の誤差が含まれることが分かった.また,燃焼装置の開発において燃料濃度の過濃領域や希薄領域が燃焼器のどの部分で発生するかなどの情報が把握でき,本装置のツールとしての有効性は十分あることも分かった.
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