平成7年度は、実用上重要な3つの体系、すなわち同一水平面上に等間隔で分散配置された垂直加熱平板列、水平加熱円柱列、および水平加熱平板列を選び出し、どのような条件下で干渉が生じるか、また干渉によって熱源からの熱伝達がどう変化するかについて、まず検討した。その結果によると、いずれの体系においても自然対流の干渉が生じ、とくに熱源が熱源の代表長さの数十倍程度遠方に設置された場合でも干渉が起きることを見いだした。この干渉に伴って、熱源からの熱伝達は垂直平板列では全く変化が見られないのに対し、水平円柱列では円柱上面の局所熱伝達率がわずかに変化し、水平平板列ではかなり顕著に熱伝達率が変化する結果を得た。そして後二者では干渉によって自然対流のはく離位置が熱源列の中央側に移動することが熱伝達変化の主因となっていることを突き止めた。この結果を踏まえて、つぎに本研究の主対象である断熱水平面上に分散された加熱平板まわりの自然対流の干渉について検討した。その結果、加熱平板が2枚の場合、自然対流の干渉は熱源間距離が平板幅の10倍以上遠方でも生じること、はく離位置の移動に伴って平板の局所熱伝達率は単独平板のそれと顕著に変化すること、また、2枚の平板の平均熱伝達率は、両平板を密着して置いた場合に最も低く、平板間隔を増加させていくに従って単調に増加し、最終的には単独平板の値に一致することが明らかになった。さらに、加熱平板が3枚の場合について実験を行なった。その結果、各平板のまわりに生じた自然対流は3熱源の幾何学的中心に寄り集まること、外側の2平板の熱伝達率は3熱源を密着させた場合に極小値をとり、平板間距離が増加するにつれて単独平板の熱伝達率に漸近していくこと、一方、中央平板の熱伝達率は3熱源を密着させた場合極小となり、それより平板を少し離したときに極大値を示し、以降平板間隔の増加に伴って単独平板の値へと漸減していくという興味ある結果を得た。これらのうち主要な結果については、裏面の如く研究発表を行った。
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