研究概要 |
標記の研究は,実在の工学系にある固体が原子の集合体としてどのようにモデル化できるかに係るものであるが,平成7年度には,この点を固体表面間の接触熱抵抗の固体力学的な要因に注目して研究した. まず,原子のオーダの視野のなかで接触点の状況を模擬するために,くさび状の柔らかいfcc原子の結晶が硬い結晶の平板に押し付けられる場合を想定する分子動力学(MD)の数値実験を試みた.その結果,提案したMD法における(圧力印加制御法)・(圧力の準静的走査法)が有効に機能することが例証できた.また、原子系の弾性変形過程をよく観察することができた. ついで,局所接触点の力学的変形(弾性変形と塑性変形)に関するMDの数値実験を行った.さきの圧力印加制御法と圧力の準静的走査法を用いて,直方体結晶を圧縮した.この固体原子系も低い圧力を印加すると,弾性変形することが確認できた.固体原子系に高い圧力を印加しつづけると,原子系はすべり変形・塑性変形することがはじめてMD計算上で観察された.
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