研究概要 |
多量の排気ガス再循環(EGR)を実施した機関のEGR率と出力の予測,ならびにEGR率のシリンダー間のばらつきの程度の予測を行い,さらに,ばらつきの発生する理由の説明と,それに対する対策の検討を行うことを研究の目的としている.初年度における研究経過は以下の通りである. 1 4シリンダー四サイクルガソリン機関を対象に,20%前後の排気ガス再循環を実施した場合のガス交換過程を,二重格子の特性曲線法による一次元シミュレーションプログラムによって解析した.得られたシリンダー毎のEGR率を実験結果と照合することにより,EGR率の予測は,一次元解析によっても実用可能な精度で行えることがわかった.さらに,シミュレーション結果に基づいてシリンダー間のEGR率のばらつきを調べるとともに,ばらつきに及ぼす期間回転数および吸気系へのEGRガス取り入れ位置の影響を検討した.その結果,吸気管内のEGRガス取り入れ位置の各シリンダーに対する偏りおよび取り入れ口におけるガス速度の変動状態がEGR率のばらつき発生の主な原因であることが明らかになった.また,機関回転数の違いによりばらつきの傾向が変化すること,計測用のEGRガス抽出口の位置の違いによってEGR率の測定値の大きさが変わることがわかった. 2 二重格子を用いた特性曲線法による一次元解析プログラムでは,吸,排気管系内の成分ガス濃度ならびに圧力波伝播の挙動を数値拡散誤差なく予測できる.局所的にガス速度が音速を越える場合,また,局所的に衝撃波が発生する場合においても,流量およびエネルギー流量を誤差なく計算できるスキームをこれに組み込む作業は進行中である。
|