研究概要 |
ガソリン機関やディーゼル機関の排出ガス中のNOxを低減する手段として排気ガス再循環(EGR)が有効である.多シリンダ機関において多量のEGRを実施した場合のEGR率と出力の予測,ならびにEGR率のシリンダー間のばらつきの程度の予測を行い,ばらつきの発生する理由の説明と,それに対する対策の検討を行うことを研究の目的としている.本年度における研究経過は以下の通りである. 1.高EGR実施四シリンダガソリン機関における吸・排気系内のガス交換過程を一次元計算しEGR率を予測した.計算結果と実験データとの比較から,吸気チャンバ内の三次元的な流動状態を一次元モデルで表すには注意が必要であり,今回のモデルには改善の余地があるものの,管系寸法をうまく設定すれば,一次元計算によってもシリンダ間のEGR率のばらつきを検討できることがわかった.シリンダ間のEGR率のばらつきに及ぼす影響因子について検討した結果,EGRガス噴出口と各シリンダの吸気管との位置関係のみではなく,吸気系の動的効果に起因する吸気チャンバ部の速度変動およびEGR取入れ口における圧力変動と吸気タイミングとの位相関係がEGR率のばらつきの原因であることが明らかとなった. 2.二重格子を用いた特性曲線法による一次元解析プログラムでは,吸・排気管系内の成分ガス濃度ならびに圧力波伝播の挙動を数値拡散誤差なく予測できる.EGR率の予測計算結果から偽拡散の殆ど生じないことが確かめられた.局所的にガス速度か音速を越える場合,また,局所的に衝撃波が発生する場合においても,流量およびエネルギー流量を誤差なく計算できるスキームをプログラムに組み込むんで計算精度を高めることは,容易ではなく作業の完了をみなかったが,今後も作業を進行させる.
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