本研究は、気液環状二相流の伝熱・流動特性に大きな影響を与える、気液界面の波動特性と液滴発生機構の解明を目的とし、管内部に挿入したファイバースコープによる気液界面の観察と、点電極プローブによる液膜厚さ変動の測定に重点を置いて研究を進めている。本年度は実験装置の製作と、基本的な測定技術の確立のため以下の作業を実施した。 第一段階の予備実験として、水平長方形断面内に工業用内視鏡を挿入し、層状の空気-水二相流を対象としてその界面波動状況の観察を行った。その結果、空気流速が小さい場合には管内が明瞭に観察され、界面波動が2次元的か3次元的かの認識が可能であるとが判った。しかしながら、空気流速が大きくなり、液滴エントレインメントが発生する場合には、液滴付着により視界が妨げられるため、液滴付着の防止策を講じる必要性が判明した。この実験結果に基づき、垂直円管内流の実験のための装置設計と製作にあたった。 現有の空気-水系流動ループに管内径26mm、全長約5mのアクリル樹脂製テストセクションを組み込み、その内の長さ1mの区間に液膜厚さ測定のため、点電極プローブを設置し、気液界面を管内部から観察するため、工業用内視鏡を管内に挿入し固定する装置を製作した。また、対物レンズへの液滴の飛散による曇りに対処するため、エア-パ-ジ用の幾つかの形状のノズルを試作した。ファイバースコープは液膜厚さ測定部の下流に挿入して固定する。実験は環状二相流の擾乱波およびリップル領域で行うが、上昇流及び下降流に対処するため現有装置の改造を行った。
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