本年度は、直径40mm、45mm、中心線平均粗さ0.2〜3.8μm、うねり0〜3μm、接触面の仕上げ方法として研削、フライスおよび旋盤を施した黄銅製円柱試験片を用いて、接触面における超音波の反射・透過特性と接触面間の真実接触面積、すなわち平均接触熱コンダクタンス(平均接触熱抵抗)との関係を明らかにするための基礎的実験を行った。以下に、本研究で得られた主な成果を列挙する。 1.うねりがない場合について、接触面における入射超音波の反射波と透過波の平均接触圧力依存性を調べた結果、ミクロな粗さどうしで接触する面を通過する超音波の透過エネルギーは、平均接触圧力の増大に伴う真実接触面積(ミクロな粗さどうしの接触)の増加とともに増大することが確かめられた。この結果、接触面における真実接触面積割合の評価方法として超音波透過法が有効であることが明らかになった。 2.接触面に凸状あるいは凹状のうねりがある場合の平均接触熱コンダクタンスと平均接触圧力の関係ならびに超音波の透過エネルギーと平均接触圧力の関係を実験的に調べた。また、凸状のうねりの影響を考慮した二次元伝熱モデルに基づく数値解析を行い、平均接触熱コンダクタンスと平均接触圧力の関係について理論的に検討した。その結果、平均接触熱コンダクタンスは、うねりによる接触面での局所熱コンダクタンスの変化を見掛けの接触面に関して平均化した量として測定されるのに対し、超音波の透過エネルギーは使用した振動子の直径に依存することがわかった。 3.接触面における超音波の透過エネルギー割合と伝熱実験から得られる平均接触熱コンダクタンスとの関係について整理、検討した。その結果、接触面にうねりがない場合には、超音波の透過エネルギー割合の測定という簡単な方法により平均接触熱コンダクタンスを誤差±50%程度以内で評価できることを示した。
|