平成6年度は、黄銅製円柱試験片を用いて接触面における超音波の反射・透過特性と平均接触熱コンダクタンス(平均接触熱抵抗)との関係を明らかにするするための基礎的実験を行った。平成7年度は、異種金属どうし(本研究では黄銅とステンレス)を接触させた場合に生じる接触熱抵抗の整流作用、本測定法の測定限界などを主要課題として実験的・理論的検討を行った。以下、本研究で得られた主な成果を列挙する。 1.うねりがない場合について、接触面における入射超音波の反射波と透過波の平均接触圧力依存性を調べた結果、接触面における真実接触面積割合の評価方法として超音波透過法が有効であることが明らかになった。 2.平均接触熱コンダクタンスは、うねりによる接触面での局所熱コンダクタンスの変化を見掛けの接触面に関して平均化した量として測定されるのに対し、超音波の透過エネルギは使用した振動子のサイズに依存する。 3.接触面にうねりがない場合には、超音波の透過エネルギ割合の測定という簡単な方法により、平均接触熱コンダクタンスを誤差±50%程度以内で評価できることを示し、その相関式を提案した。 4.マクロな凸状のうねりを持つ異種金属どうし(黄銅とステンレス)を接触させた場合、本実験においても従来から報告されている整流作用が見られることを確認した。そして、本実験のようにうねりが大きい場合は、接触熱コンダクタンスに及ぼす接触面の温度レベルの影響が大きいことを明らかにした。 5.超音波を利用した接触熱コンダクタンスの評価において、荷重依存性に関しては伝熱実験と同じ傾向が得られたが、整流作用の評価においては逆の傾向が見られた。これには、大きなうねりがある場合の本測定法の適用限界のほかに、振動子の温度依存性を考慮する必要があることを示した。
|