|
ガソリン等の代替燃料としてメタノール、エタノールおよびこれらを含む高濃度アルコール混合燃料が期待されている。大気圧常温下の平衡状態で過濃限界を大きく超える燃料成分を添加した高濃度アルコール混合燃料では、貯蔵中、液面に接して可燃混合気層が形成される可能性がメタノール、エタノールに比べ一般に低下する。しかし、過渡的状態あるいは大空間では液面から離れて可燃性混合気が広く滞留することが考えられるため、貯蔵時の安全性については十分検討しておく必要がある。
本研究では、メタノールを主成分としガソリンを少量含む燃料について貯蔵時の爆発安全性に関する検討を行うこととし、小形容器で爆発実験を実施し結果を分析した。実験では、燃料を底面全体に拡がるように注入し、初期温度、蒸発時間、着火用電極の種々の組み合わせのもとで着火した。1年目は市販のホワイトガソリンを使用しM100、M97、M95について実験を行い、2年目はn-ヘプタン他計7種の純物質を混合してガソリン合成し、M95、M90、M85についてより低温側まで実験を行った。圧力変動に様々なパターンが存在することが観察された。着火位置-蒸発時間面上で爆発発生範囲と最大圧力上昇値の等値線をマッピングした結果、両ガソリンとも、メタノールが平衡状態で希薄混合気を形成する約20℃以下に、少量のガソリン添加時に爆発発生範囲が拡大し最大圧が上昇する範囲があること、この範囲を除くとガソリンの割合が増えるほど、また温度が高いほど爆発発生範囲が縮退し最大圧も低下することが明らかとなった。しかし、最大圧力上昇は高い位置で過濃な混合気に着火した場合でも最低1atm程度あり、その他の場合は概ね3〜8atm程度であり、静電気火花等の着火源が存在する可能性がある場合は、耐圧設計や十分な量のガソリンの添加等の対策が必要となると考えられる。
|
