小さなスケールの強い乱れの場合の乱流予混合火災では、乱れによる新しい輸送機構が分子輸送機構に加わるために、局所的な反応帯の構造は層流予混合火災の構造とは異なると考えられてきた。ところが、最近の研究で、小さなスケールの強い乱れの場合でも、局所的な反応帯の構造は層流予混合火災の構造と同様であるとの、従来の学説を疑問視する報告が行われた。これは、小さなスケールの乱れが局所的な反応帯に存在しないか、小さなスケールの乱れが局所的な反応帯の内部構造を乱し得ないかのいずれかであるためと考えられる。 そこで、本研究では、レーザ流速計と静電探針の同時計測により、乱流予混合火災の局所的な反応帯における乱れの諸特性を明らかにする事を目的とした。レーザ流速計と静電探針との同時計測を行う事により、イオン電流波形から、レーザ流速計の測定点が未燃焼混合気中あるいは燃焼ガス中に存在するのかを判別する事が出来る。これにより、局所的な反応帯における速度変動を分離して計測する事ができる。 平成7年度は、レーザ流速計と静電探針との同時計測により、局所的な反応帯における速度変動を記録することが可能になった。さらに、レーザ流速計により記録された速度変動から、乱れのコルモゴロフのスケールを測定するための計算機プログラムを開発した。 平成8年度は、上記の実験手法を用いて、未燃焼混合気流中の乱れのコルモゴロフのスケールが層流予混合火災の厚さより小さい流れ場に形成される乱流予混合火災の局所的な反応帯における乱れの諸特性を明らかにする。
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