小さなスケールの強い乱れの場合の乱流予混合火炎では、乱れによる新たな輸送機構が分子輸送機構に加わるために、局所的な反応帯の構造は層流予混合火炎の構造とは異なると考えられてきた。ところが、最近の研究で、小さなスケールの強い乱れの場合でも、局所的な反応帯の構造は層流予混合火炎の構造と同様であるとの、従来の学説を疑問視する報告が行われた。これは、小さなスケールの乱れが局所的な反応帯に存在しないか、あるいは、小さなスケールの乱れが局所的な反応帯の内部構造を乱し得ないかのいずれかであるためと考えられる。 そこで本研究では、レーザ流速計と静電探針を組み合わせて使用する事により、乱流予混合火炎の局所的な反応帯における乱れの諸特性を明らかにすることを目的とした。レーザ流速計と静電探針との同時計測を行うことにより、イオン電流波形から、レーザ流速計の計測点が未燃焼混合気流中あるいは燃焼ガス流中に存在するのかを判別することが出来る。これにより、局所的な反応帯における速度変動を分離して計測することが出来る。 このような手法により、未燃焼混合気流中の乱れのコルモゴロフのスケールが層流予混合火炎の厚さより小さい乱流場に形成される予混合火炎の局所的な反応帯における乱れのコルモゴロフのスケールを計測した。その結果、未燃焼混合気流中に存在した小さなスケールの乱れは局所的な反応帯には存在しないことが明らかになった。
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