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本研究では、わが国の次世代の原子炉の候補に挙がっている高速増殖炉(FBR)炉容器の炉壁保護系の安全性に関連した「流体と堰との連成自励振動」の非線形安定性解析について研究を行っている。
対象となる振動系は、上流タンク、弾性堰、下流タンクから構成される。上流タンクに供給された液体は、堰をいつ流して下流タンクへと流れ込む。その時に、越流特性、落下特性が複雑に絡んで下流タンクに自励的な液面揺動が発生する。今回の研究では、特に、堰の頂上部を流体が越流する時の流量と越流高さとの非線形な関係、堰に沿って落下する流体の速度の流量依存性、上流側タンクと下流側タンクの間の液位差に基づく静水圧による堰板のたわみと液位差の非線形な関係を反映した安定性解析を試み、実験によって理論の妥当性を検証することを目的としている。
平成7年度の研究では、解析方法の検討と解析、実験装置の設計と試作を行った。
解析においては、非線形特性および流動の動特性の把握が重要で、
(a)堰の頂上部を流体が越流する時の流量と越流高さとの非線形な関係
(b)堰に沿って落下する流体の速度の流量依存性
(c)上流側タンクと下流側タンクの間の液位差に基づく静水圧による堰板のたわみと液位差の非線形な関係
について検討を行っている。特に、(a)については、これまで、越流する時の流量は、越流高さの関係は2分の3乗に比例するとされてきたが、実際には、矩形容器の場合には2分の1乗に、円筒容器の場合には1乗に比例することが明らかになったまた、(b)については、流速の流量依存性を表すことの可能な理論式を導出し、従来の実験装置を使った実験によって有効であることを確認した。また、実験装置の設計では、動的な状態での越流高さと堰板の変位の関係および、液位差を変化させた時に発生する静水圧による堰のたわみと液位差の関係を精度良く測定することの可能な実験装置の設計、製作が終了した。これから実験に取り掛かるところである。
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