本年度においては、制御要素の基本性能を確認するため、減衰係数を連続的に変化させるサーボ型連続可変ダンパにより、実験装置を試作し、加振及び振動制御実験を行った。この装置のばね上質量は溝形鋼と約150kgの鉄製のおもりから成り、合わせて約200kgとなる。これを門柱により上下方向及びピッチ方向の2自由度に拘束している。サスペンションはばねとダンパからなり、ダンパ上部に取り付けたステッピングモータにより、ダンパの減衰調整つまみを操作し、減衰を変化させるものである。これにより、その制御効果を理論的、実験的に確認した。またER流体による連続電圧制御ダンパによる制振効果を検討した。これまでにダンパの発生する減衰力をモデル化し、理論により特性の確認を行った。サーボ型連続可変ダンパ、ER流体型連続電圧制御ダンパともに振動制御のための制御系は、非線形な減衰力特性を持つダンパに対して、アクティブ制御モデルを目標としたモデル追従制御を行い、基本特性の把握と、制御効果の確認を行っている。 また理論、数値解析により、高速で連成走行する車両全体に対する振動を考慮した制御系の設計を目的として、前方の車両に加わる外乱を制御系に考慮した最適予見制御系を設計し、その制御効果を確認した。また今回特に車両の乗客に対して不快感を与えないことを目的とし、乗客が感じる加速度を考慮した周波数成形フィルタを用い、周波数成形最適制御を検討した。これを予見制御に適用した周波数成形最適予見制御により、ISO-2631に示される人間が不快に感じる周波数域を選択的に制御を行い、良好な制御効果が得られることを確認した。
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