研究概要 |
1.実験対象の改善 超音波モータを収める加工精度の高いケーシングを製作することにより,測定データの再現性が向上した.従来の負荷用プロ-ニブレーキをヒステリシスブレーキに変更することにより,負荷の信頼性が向上した. 2.新たな測定系の構成 データサンプリング・処理プログラムの改良により,ローター回転分の膨大なデータを収集し,ワークステーション上で解析することが可能となった.得られたデータに再現性があることを確認することができた. レーザードップラ振動系を用いた新たな変位測定系を構成し,ロータ面外振動(沈み込み),歯の周方向および面外方向振動を任意のロータ回転角度,歯位置において測定できるようにした. 3.得られた知見 ロータの回転むらを考慮し,ロータとステ-タの取り付け角度およびそりを実測し,接触状況に関する基礎データを得た. 回転むらがほとんどない状況でも,ロータ沈み込み量はローター回転中大きく変動し,ロータによくあたると思われる歯の位置で測定された沈み込み量ほど大きいことがわかった.また,運転中の鳴きは,主にステ-タとロータが接触分離を繰り返すと思われる歯位置において顕著に観測された.これまでステ-タとロータはほぼ一様に接触すると考えてきたが,両者のそりおよび取り付け角度の影響を受け,接触範囲および接触圧力分布は,ロータ回転角度に大きく依存することが明らかになった. 回転制御実験の準備 当初購入予定であった制御用DSPボードは,高速性および分解能という点で問題が生じたため,制御仕様を満たすドライバを製作した.また,制御則はDSPボード上に実装する予定であったが,上記問題が生じたため,パソコン上のプログラムとして実現することにした.このため,本ボード搭載予定であったパソコンではやはり高速性という点で問題があり,新たに高速なパソコンを購入した.以上より,回転制御実験を行う十分な環境が整った.
|