研究概要 |
これまでに,簡単な駆動モデルに基づく駆動トルクの計算値と実験値の比較が行われいるが,ステ-タとロータの接触状況について,そりを考慮した研究は行われていない.また,運転時には鳴きが発生し,実用化の妨げになっている. ここでは,超音波モータの駆動機構を解明するために,そりを考慮したステ-タとロータの接触状況と,ロータの弾性変形量(沈み込み量)を明らかにすることを第一の目的とし,新たに開発した測定法を用いて,詳細な振動測定を行った.その結果,次のことがわかった. 1.加圧力を上げていくに従い,ロータに近い歯から順に接触する. 2.ロータに近い歯で測定した沈み込み量の方が,遠い歯でのそれよりも大きい. 3.歯の周方向速度は,歯の位置にはほとんど依存しない. 4.鳴きの周波数は4.9kHzで,ある特定の歯で顕著に観察された. 超音波モータは摩擦による温度上昇,そりに起因する回転むらという問題を持つため,速度制御は必須である.これに関し,これまでに適応制御系が提案されているが,この方法では,系統的な設計が困難である. ここでは,温度変化による特性変動に対してロバスト安定かつ,回転周期に同期した速度変動を考慮した定速度制御系を構成することを第二の目的とし,以下のように制御系を構成した. 1.H∞制御に基づくロバスト制御系を構成 2.安定性を考慮しつつ,繰返し補償器を付加 また,実際に定速度制御実験を行い,繰返し制御の有効性を実験的に示した.
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