自動車のマイクロ交通流アニメーションにおいては、各自動車の縦方向(加減速)ならびに横方向(操舵)の制御が基本技術となる。車両の縦方向制御の目的は、先行車との適正な車間距離の維持であり、横方向制御のそれは、車線保持と車線変更である。これらを達成するため、まず制御対象である車両の運動をモデル化し、これに対して適応ロバストスライディングモード制御法を用いて、制御系を設計した。この結果、車両の不確かな部分のオンライン推定と、目標状態に至る過渡特性の指定を行うことにより、オーバーシュートのない、人間運転者と同様な良好な制御結果が得られた。また、これらの制御を前提として、停止制御、車間距離制御、車速制御、車線保持制御、車線変更制御、複数目標制御などに対する認知判断モデルを導き、複雑な状況にも対応可能にした。さらに、マイクロ交通流シミュレーションのために、3次元グラフィックスライブラリーを用いて、アニメーションを構築した。すなわち、1。道路、交差点、建物などをオブジェクトとして作成して走行環境を構築し、2。前後並進、左右並進、ヨ-回転の3自由度の運動モデルを用いてマニュアル車両と自動運転車両を走らせ、3。自由走行から車間距離制御への推移や自動運転車両の車線変更をアニメーション化し、4。フロントガラス、バックミラー、ドアミラー、および上空から見た情景を視覚化した。この一方で、アニメーション世界構築のためのグラフィカル・ユーザ・インタフェースの作成も進めている。来年度は車両の数を増し、走行環境も現実に近いものとし、よりリアルなマイクロ交通流アニメーションを構築する予定である。
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