本研究では、TL年代測定の研究推進に貢献することを目的として、温度制御系の設計からTL測定に至るまでのTL年代測定用計測制御システムの研究開発を行った。 その成果を以下に述べる。 1)TL発光強度から年代を測定する場合には、規範的データと我々の計測した実験結果を比較することにより種々のノウハウを構築することが可能となった。 2)発光データに対し、時空間周波数解析法として有力な解析手法であるウェーブレット解析を適用することで、新たな知見が生まれた。 次に、試料を一定速度で加熱する定速昇温制御系の設計問題では次の手法を用いた。 1)近年、その理論が確立したロバスト制御法の範疇であるH無限大制御やモデル予測制御理論を積極的に導入し、改良を加えることにより、従来の制御法では実現できないような高精度(絶対値誤差±0.1%以内)の制御性能を発揮することが可能となった。 2)われわれが提案した最適ディジタル制御系の適用も試みた。この手法は、システムのステップ応答の情報から制御系を設計するという特徴を有するため、システム同定から制御系設計までを一貫して行えるという利点がある。この制御系をTL年代測定用計測制御システムに導入することで、温度制御系からTL発光強度測定までを統合的に実行するシステムを構築することが可能となった。 さらに、本研究で提案したディジタル式最適制御系は振動制御問題へ応用可能であることも明らかになった。
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