研究概要 |
平成7年度は,Chained formで記述された非ホロノミック系に対して,ある特別な初期値を避ければ,滑らかな状態フィードバックによって平衡点の指数安定化が可能であることを明らかにした.そらに,この制御入力は定数ゲインによる状態フィードバックとなることを証明した.この事実に基づき,Chained formで記述された2入力非ホロノミック系の原点を指数安定化する制御系の設計法を与えた.この制御則は,配位空間上の初期値から特別な超平面q_1=0を除くことで,Brockettの禁止条件を回避し,q_1(0)=0を除く任意の初期値から原点への指数関数的な収束を達成した.この成果は,現在,学会論文誌に投稿中である.また,多入力Nonholonomic chained systemに対する指数安定化制御則の導出に成功した.この制御則は基本的に上述の2入力Nonholonomic chained systemに対する制御則を拡張したものである.具体的な例として,3輪駆動のfire truckに対する原点の安定化問題を考察し,シミュレーションによってその有効性を示した. 双腕マニピュレータによる操り制御を行い,双腕マニピュレータによる物体把持の際に生じる非ホロノミック拘束の下で,把持物体に対して任意のインピーダンスを指定できる制御則の設計法を提案した.シミュレーションおよび実験結果より,提案した制御系設計法の有効性を確認した.現在,この成果を学会論文誌へ投稿するよう準備を進めているところである.しかしながら,提案した制御系設計法では,把持物体の安定化は達成できるが,マニピュレータの一部の座標に対してはその安定性を保証できないという問題点が存在することが分かった.このため,把持物体とマニピュレータとの回転接触を表現する拘束条件の数学的解析を進めている.
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