ロボットの意識を、「与えられたミッションの遂行と自らの存在のために必要な知覚機能と実時間での状況理解と意思決定を行う機能」と定義し、自律移動ロボットを例題とし基礎実験を行った。 机上に数個の多角形障害物を置き、その間を多角形のロボットがゴールまで移動する問題を設定した。障害物は位置が変化するので、予め決めておいた動作を実行するだけではミッションを遂行することができない。また、従来の移動ロボットのように局所的な環境認識に依存するのではローカルミニマムに陥りこれもミッションを果たすことができない。しかし人間は確実にそのようなミッションはこなす。この場合の人間の意識に相当する働きを実現することを試みた。 まず認識機能に関して、ロボットの世界で、意味にある物体にはすべてマークを貼付するというアプローチをとった。マークは円形バ-コード状のもので14種類作成した。このマークをビデオレート(33m sec)で認識するマークベーストビジョンを開発した。各物体に対応し外形形状やマークの物体上の位置等の情報を含むモデルを準備した。以上により、環境中の全ての物体の形状、位置姿勢はビデオレートで認識されるようになった。 次に目標位置に到達するための動作計画を高速で実行するアルゴリズムを考案し、1秒程度で大域的動作計画を行うシステムを作った。これは、解があれば必ず解き、解がない場合は、そのことを正しく認識する。 以上の認識機能と計画機能を統合し、変化する環境でも極めてロバストにミッションを遂行するロボットを実現した。このロボットの挙動を観察すると、ある種の意識の存在を感じさせる。このシステムを使った意識研究の検討を行った。 並行して、音響センサデータの処理システムを作った。
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