意識に基づいた行動の制御方式を提案した。すなわち従来のロボット行動の制御は計画と実行が分離されており、環境理解や意志決定は計画時になされ、実行時は単に計画された軌道をトレースするという形態を取る。これは実行時に意識が途切れることを意味する。本研究では、環境認識を高速化することによりあたかも人間が意識を持つように常に環境状態を頭にいれた行動制御をおこなう。 具体的には、認識・計画と実行が蜜に結合し、実時間(1秒程度)で計画と行動のサイクルを繰り返す制御体系を構成した。この目的のため、認識系と計画系が実時間で結合され、ロボットを画面上でシミュレートした行動システムを開発した。このシステムを用いて、動的に変化する環境で、ロボットを目標点まで移動させる問題を実行させた。その結果、環境中の障害物をどのように動かしても、解のある場合は正しく目標点まで到達し、解のない場合は、そのことを知り停止する行動をとることが示された。 環境認識を容易化するための方式として、マークを用いる方法を考案しているが、これまでのマークはその数が限定され、複雑な環境は扱えないという欠点があった。そこで、新たに、マークとバ-コードを組み合わせたマ-コードと呼ぶパターンを使い、数にほとんど制限のない方法を開拓した。実験的にも安定して機能することを示した。 以上、動的な環境で大域的な動作計画を行いつつ行動を制御し得た例はこれまでなく、本研究が最初に示したと言うことができる。
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