研究課題/領域番号 |
07650311
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
田中 芳雄 大阪府立大学, 工学部, 教授 (60081246)
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研究分担者 |
菊田 久雄 大阪府立大学, 工学部, 助手 (10214743)
川田 博昭 大阪府立大学, 工学部, 講師 (90186099)
村田 顕二 大阪府立大学, 工学部, 教授 (30029079)
岩田 耕一 大阪府立大学, 工学部, 教授 (20081242)
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キーワード | カンチレバ- / 大たわみ理論 / 3次元静電場 / ヤング率 / 薄膜 / 原子間力顕微鏡 / 力平衡方式 / 力・距離曲線 |
研究概要 |
1.マイクロマシン部材の最も基本的な形態として平板のカンチレバ-を取り上げ、3次元静電場におけるたわみ特性を解析した。カンチレバ-を基板に平行に設置し、これらを一対の電極として両者間に電圧を印加したときのカンチレバ-のたわみを解析した。ただし、たわみが十分大きくなる場合も取り扱えるよう、大たわみを理論に基づき、たわみ、応力関数、静電力を連成させて、パーソナル・コンピュータを用いた差分法の繰返し計算により解析した。 (1)臨界の印加電圧でカンチレバ-のたわみが急激に増大して先端が基板に接触する特異性が存在し、平板の寸法が与えられれば、この臨界電圧から平板のヤング率を求めることができる。共振法によるヤング率の測定のように、測定が困難な密度といった他の物理量を必要としない点で優れている。 (2)カンチレバ-の寸法誤差、電極間距離の設定誤差、カンチレバ-の初期そり量(残留応力によるもの)とヤング率の測定誤差との関係を明らかにした。 2.平板カンチレバ-の利用対象として原子間力顕微鏡(AFM)用プローブを取り上げ、カンチレバ-にかける静電力と深針に作用する力とを釣り合わせる力平衡方式を用いて、正確な力・距離曲線を高速に求める方法についてシュミレーションにより検討を行った。ファンデルワールス力が深針に作用するときのカンチレバ-の運動をモデル化し、レバ-の振動方程式を求め、これを含めた測定装置の伝達関数を求め、これらから高速の力平衡を実現するためのPID制御器を設計した。 その結果、想定した力・距離曲線を市販のAFM用カンチレバ-(ばね定数 0.18N/m、第一次共振周波数 25KHz)を用いて、1/100秒オーダの時間で測定が実現できる。これは、力平衡方式を用いない場合、5/10秒かけても正確な測定が行えないのと比べ、大きな利点といえる。
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