PID位置制御型コントローラを有する一般の産業用ロボットを複数台協調させることにより1つの物体の操りを行うための手法として、各ロボット先端に受動関節機構を導入する方法を提案した。 本年度は、まず手法の有効性を検証するための準備として、4つの受動関節から構成される機構を2台試作した。各関節にはその変位を計測するためのポテンショメータ、受動関節をロックするための電磁ブレーキを導入し、また、各受動関節先端にはハンドの代用として電磁石を取り付けた。 次に、基礎実験として2台の産業用ロボットによる物体の操りを試みた。2台のロボットによる協調の場合、両方のロボット先端の間に対象物を介しちょうど6つの受動関節が存在することが必要条件となるのに対し、試作し導入された関節数は8個となるため、2つの関節をロックすることが必要となる。この2つの関節の最適な選び方として以下を提案した。まず、8つの受動関節を1つのマニピュレータとみなしたヤコビ行列を求め、このうち2つの縦ベクトルを取り除いた行列の行列式を計算する。この計算を全ての組み合わせについて行い、その値が最も大きくなる取り除き方を選択する。これにより、2台のロボットに発生する相対位置誤差にロバストな協調系が実現できることになる。本手法を利用した実験により、金属の棒の軌道制御を簡単に実現できることが証明された。
|