研究概要 |
ロボットがヒト並の知能的な作業を行うためには,触覚の機能が不可欠である.光導波路は,ゴムの被覆に分布する圧力を光の分布に変換するものである.この原理を応用して,光の分布をCCDカメラにて撮像することによって触覚センサを構成できる.このゴムの被覆の材質・形状を種々変更すると,圧力以外の情報も獲得できる.研究代表者はこの特色に着目し,ゴムの被覆の両面にそれぞれ円柱状と円すい状の触子のアレイを形成することによって三軸力の分布を検出するセンサを開発した.本研究では,これをさらに発展させて,特性の異なる素子を分布させたゴムシートの変形を用い,その機械変換能力によって硬さや形状などの高次な情報を得るセンサを開発する.以下に本年度の成果をまとめる. (1)表面にピラミッド状突起をアレイ状に配列した光導派路を製作し,硬・軟二種類の硬さのゴムパッチを市松模様状に配列させて一枚としたゴムシートと組み合わせる構造の触覚センサを開発した. (2)一つのゴムパッチは,4つのピラミッド状突起と接触するように配列してあるので,4箇所の接触面積の大小関係から,三軸力を検出できることを実験で明らかにした. (3)硬・軟のゴムパッチの間には段差があるため,対象物体が硬くなるほど同一加圧力でも両パッチ間の接触面積の差は小さくなる.この接触面積差を硬さ検出の尺度にできることを一連のFEMによる接触解析によって明らかにするとともに最適段差値を求めた. (4)解析で求めた段差を有するゴムシートを製作し,ヤング率が異なる5種類の試験片を用いた硬さ検出実験を行い,解析で予測した硬さ検出能力があることを明らかにした. (5)ピラミッド突起がゴムシートに圧入するときの圧入深さの分布を計測することによって対象物体の三次元面情報を得ることができることを実験によって明らかにした.
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