研究概要 |
ベローズアクチュエータおよび空気圧シリンダを用いて被介護者に対し柔軟な動作が容易に実現できる自動移乗機を製作した.試作した移乗機は,回転機構部と直動機構部から構成され,回転機構部は外圧式ベローズアクチュエータをワイヤにより張力拮抗させることにより直動機構部を回転駆動する.そして,直動機構部はシリンダ・ベローズアクチュエータを応用し空気圧シリンダのロッド先端部に拮抗形ベローズアクチュエータを取り付けている.さらに,拮抗形ベローズアクチュエータ出力軸先端部に被介護者を支えるサポ-タを接続している.移乗プロセスは,被介護者が移乗機サポ-タ部をマニアル操作で各個人に適した位置に設定するマニアルセッティングモード,座位から立位姿勢への動作を補助する移乗アシストモードおよび被介護者が任意の位置・姿勢で停止する定位置静止モードから構成される.マニアルセッティングモードは,パワーアシスト機能により,わずかな力で移乗機サポート部を任意の位置へ操作することができる.移乗アシストモードは,被介護者がサポート部へもたれかかり前傾姿勢をとることにより移乗動作を開始する.すなわち,被介護者の意思をサポ-タ部の姿勢変化から推定し,最適な移乗軌道を実現する.さらに,サポ-タ部は倒立振子制御により常の床の基準面に対して垂直の姿勢を維持するように直動機構部の空気圧シリンダのストロークが制御される.これにより,被介護者はサポ-タ部から外れる危険性を回避でき,安定した移乗動作を実現できる.また,サポ-タ部を保持する拮抗形ベローズアクチュエータの力センシング機能により被介護者を一定の力で支え,被介護者の動作に柔軟に対処することが可能となる.本研究では,空気圧ベローズアクチュエータを用いた介護用移乗機の有効性を実験的に明らかにした.
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