平成7年度は、駆動機構の基礎的な特性を把握するために圧電素子による衝撃力を利用した微小移動機構からなる1自由度駆動装置を製作し、これを用いて超精密自動組立に必要な、位置決め精度や駆動能力などの基本特性を検証した。さらに、イメージスキャナーなどに使用されるCCD素子やフォトダイオードなどの搭載された基板を位置決めするための実験を行うため、電子回路基板をこの駆動機構によって位置決めする事のできる実験装置を製作した。これによって簡略化された位置決めアルゴリズムを用いてXYΘの3自由度の駆動が可能であることを確認した。具体的には次のようにまとめられる。 (1)1自由度超精密組立機構の製作とその特性評価 圧電素子の急速な変形に伴う衝撃力を利用した移動機構を用いて、1自由度の精密位置決め機構を製作し、その性能評価を行った。その結果移動機構は、摩擦性の負荷に対して有効であることが示され、20ミクロンからサブミクロンの移動量が得られることが判明した。またこの移動機構によって電子回路基板等の小型部品を移動させる実験を行い移動機構の変異と部品の変位がよく一致することが確かめられた。このことは本方式による部品の超精密位置決めが可能であることを示唆するものである。さらに、負荷特性についても検証を行い部品を固定する際の摩擦性の負荷に対して高い駆動能力を持つことが示された。 (2)3自由度超精密組立機構の開発 3自由度位置決めには最低5個の移動機構(アクチュエーター)が必要であるが、移動のしやすさを考慮して6個のアクチュエータを用いた移動機構を製作した。これによって、高精細CCD等を搭載した基板を模擬した部品の3自由度位置決めが10μm程度の分解能で可能であった。
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