本年度は、鉄心磁化特性からの無負荷飽和曲線の導出に関する研究、ならびに、界磁電流算定法の分類に関する研究を行った。 ・界磁鉄心胴部にイスムスをもつ同期発電機に対して、鉄心の磁化特性と機械的な寸法から、無負荷飽和曲線を算出した。算出した無負荷飽和特性を、実験で実測した特性と比較したところ、多少のずれが見られた。この原因は、界磁鉄心イスムス部の磁路の軸方向分布に対するモデル化上の問題と考えられる。 ・界磁電流算定法の分類と根拠に関して、理論的研究を行った。起電力法、起磁力法、および、電気学会標準規格JEC-114に採用された3つの界磁電流算定法について、dq軸上の電流と磁束の関係式に定式化し、磁気回路としての根拠を考察した。その結果、次のことが明かとなった。 1.起電力法は、界磁鉄心内部に磁気飽和を有し、界磁漏れ磁束が非常に大きな同期機に適合する。 2.起磁力法は、空隙に近い鉄心(電機子歯または界磁歯など)に磁気飽和を有し、電機子漏れがない同期機に適合する。 3.JEC(2)法は、電機子歯または界磁歯に磁気飽和を有し、電機子漏れがある同期機に適合する。 JEC(3)法では、dq軸間の相反性が成立しないため、厳密に適合する同期機は、存在しないと考えられる。
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