本研究は、超電導電力貯蔵装置(SMES)による風力/ディーゼル発電システムの周波数電圧変動抑制のシミュレーション結果を実験的に検証するとともに、実用化に向けての課題を抽出することを目的とするものである。本年度の研究実施結果ならびに得られた成果は以下の通りである。 前年度は、現有設備を利用して構成した風力/ディーゼルハイブリッド発電模擬実験装置に、SMES模擬装置(SMESによる電力制御を、一定負荷とコンバータ+抵抗負荷の組合せで模擬)を接続して、SMESの周波数変動抑制効果を確認した。今年度は超電導コイルを準備し、SMES模擬装置ではなく実際のSMESを用いて実験を行った。超電導コイルの定格は、最大コイル電流50A、エネルギー貯蔵容量50kJで、電流値50A以上では500Wでの充放電が可能である。SMESは風力発電機を模擬する誘導発電機の端子に接続し、誘導発電機の角速度偏差によってSMESの電力を制御した。 まず、風力発電の出力のステップ状の変化に対する系統周波数の変動をSMESで抑制する実験を行い、周波数変動のオーバーシュート、アンダーシュートがSMESの制御によって抑制できることが確認できた。ついで、風力発電の出力の正弦波状の変化に対する応答試験を行った。周波数の低いゆっくりした変化の場合(0.5Hz程度以下)は、ディーゼル発電を模擬する同期発電機に備えられている調速機の動作が追従できるので、SMESの効果は大きくないが、比較的速い変化(周波数2Hz程度以上)に対しては調速機の応答が追いつかずSMESの効果が相対的に大きくなり、SMESがない場合と比較して系統周波数の変動が抑制できることが明らかになった。
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