超電導電力貯蔵装置(SMES)による風力/ディーゼル発電システムの周波数電圧変動抑制のシミュレーション結果を実験的に検証するとともに、実用化に向けての課題を抽出することを目的として、2年間にわたり実験的な研究を行った。得られた成果は以下の通りである。 1.風力/ディーゼルハイブリッド発電の模擬実験システムを構成した。風力(風車)を模擬する誘導電動機に直結された誘導発電機と、ディーゼルエンジンを模擬する直流電動機に直結された同期発電機を、模擬送電線を介して接続し、誘導電動機をインバータで、直流電動機は電力変換装置で駆動するものである。 2.負荷の消費電力を一定とし、風力発電の出力を徐々に増加することによってシステムの静特性を測定した。その結果、風力発電の出力変動による周波数変動によってディーゼル発電の調速機が働き、ディーゼル発電の出力を減らすことを確認した。 3.SMES(コイル電流50A、エネルギー貯蔵容量50kJ)を誘導発電機の端子に接続し、誘導発電機の角速度偏差によってSMESの電力を制御した結果、風力発電の出力のステップ状の変化に対しては、系統周波数変動のオーバーシュート、アンダーシュートがSMESの制御によって抑制できることが確認できた。風力発電の出力を正弦波状に変化した場合、周期の短い速い変化に対しては調速機の応答が追いつかず、SMESの効果が相対的に大きくなり、SMESがない場合と比較して系統周波数の変動がかなり抑制できることが明らかになった。 4.SMESによる系統周波数抑制効果は、SMESで制御可能な電力の値から期待されるよりも小さかった。より適切な制御方式を開発するとともに、無効電力制御を付加する必要のあることが明らかとなった。
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