モジュール型SMESにおるコイル間磁気結合の影響を解明しエネルギー移送方法を確立するために、平成7年度には計算機シミュレーションにより電気現象の解明と電力制御方法の検討を行った。これを受けて、平成8年度は、これらの移送特性と制御方法の有効性を確認するために実験的な検証を行った。実験装置としては構築しやすいソレノイド形コイルによる4モジュールのSMES装置を製作した。電力変換装置としてはGTOによる三相ブリッジ回路の電流形変換器を4台製作した。このようなSMES装置により、モジュール形SMESにおいて生じる磁気結合の影響を実験により確認し、かつこの影響を補償し各モジュールを均等に動作させる制御法を確認した。すなわち、各モジュールの磁気結合状態が異なる状況での運転では、各モジュールの電力変換器に対して同量の電力を指示すれば各モジュールの電流値は異なってくる。従って各モジュールの電流を検出し、これを電力指示値に帰還し、各モジュールの電流を揃えるようにした。具体的には、一定電流を保持して運転を続ける場合、1モジュールを停止させる場合、逆に停止していたモジュールを復帰させる場合、さらに電力の出し入れを行う場合について、それぞれ各モジュールを均等な電流値で制御できることを確認した。このことにより、モジュール型のSMESにおいては異なる磁気結合状態の運転で電流が不平衡となる影響を受けるが、電流制御により均等な動作状態にすることができ、SMES容量として各モジュールの容量を均等に配分できることが明確になった。
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