研究概要 |
本研究の目的は,誘導電動機の速度センサレスベクトル制御の低速域での不安定現象を磁束センサを用いて根本的に解決することであり平成7年度は磁束センサの基本仕様を明らかにすることである.このため,2.2kw,60Hz,4極の汎用誘導電動機のヨ-ク部に直径5mm深さ15mmの磁束検出用穴をあけ,この中の磁束を検出した.磁束センサは,平成7年度では,ホール素子を使用した磁束センサを用いていたが,誘導電動機内の温度が高温になるので実用化できない問題がある.そこで,本年度は,平成7年度で明確にした磁束センサの基本仕様をもとに300℃まで使用可能な零磁界形磁束センサを試作して測定した. 実験結果より次の事が明確になった.まず,交流磁束については,誘導電動機に設置したサーチコイルによる磁束を真値として磁束センサの測定値と比較した.その結果,負荷変化が-100〜100[%],周波数変化が1〜60[Hz]において,磁束振幅の変動は,10[%]以内であり位相遅れは10[Hz]以上で7.5°以内10[Hz]以下で30°以内であった。次に,平成7年度の知見で得られた磁束センサを3個使用して第3調波を低減する方法を実験した結果,第3調波が約1/5に低減することが分かった。直流磁束については,真値としてサーチコイルによる磁束を使用できないので誘導電動機を停止させ固定子に直流電流を流して電流と磁束検出値を比較した結果,誤差が10[%]以内で直流磁束の検出が可能であることが分かった.また,新しい知見として電流での高調波の概念を確立できた.
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