研究概要 |
本研究では、電力ケーブルの代表的絶縁構成であるポリエチレンと半導電層の組合せについて、空間電荷の動的挙動とこれらが破壊・劣化現象に与える影響を明らかにし、これにより注入電荷が関連した破壊・劣化現象の防止、注入や空間電荷蓄積の抑制への指針を得ることを目的としている。 このような目的を達成するため、平成7年度は、申請者が以前から使用していた空間電荷観測系の改良と、それを用いた基礎的測定(金属電極界面付近での空間電荷ダイナミックスの検討)を行った。得られた成果の概要は以下の通りである。 1.空間電荷直接観測システムの電極面積の適正化などの改良を行った。この結果、空間分解能を2μm程度まで向上させることに成功した。 2.基本的なケーブル様絶縁材料であるポリエチレン(PE)について空間電荷測定を行い,電解界面付近を中心として空間電荷挙動の観測を行った。 (1)分子構造の変化,電極構造の変化に対応して空間電荷挙動の変化する様子が観測された。特に、極性基を導入したPEでは、注入電荷が電極ごく近傍にトラップされ、後続の注入や極性反転時の電界分布などに大きな影響を与えることが分かった。 (2)高電界下での電極界面付近から特異な動的挙動を示すことを明かにし、その発生条件を明かにすると共に、そのダイナミックな挙動が電気伝導に直接影響を与えることを明かにした。
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