(100)配向した下地層上に作製したCo/Pt及びCo/Au人工格子膜の構造と磁気異方性:NaCl (100)単結晶基板上にPtあるいはAuを基板温度300℃で蒸着した。PtもAuもエピタキシャル成長し、(100)配向した下地層が得られた。Pt下地層上に基板温度を室温から400℃まで変えてCo/Pt人工格子膜を作製した。Co/Pt人工格子膜は基板温度に関係なく面心立方(fcc)構造で(100)配向であった。垂直磁気異方性はCo層の厚さに関係なく負で、基板温度を高くするにつれて大きくなる。これは界面に形成される合金層が垂直磁気異方性をもつことを示唆する。次に、Au下地層上に基板温度100℃でCo/Au人工格子膜を作製した。X線回折ではCo/Au人工格子の結晶構造を同定することはできなかったが、電子線回折パターンの測定からCo層には(100)配向したfcc構造のCoと(11.0)配向した六方晶(hcp)構造のCoが存共することがわかった。垂直磁気異方性はCo層の厚さに関係なく負であり、界面磁気異方性はほぼゼロである。また、Co/Pt人工格子膜でもCo/Au人工格子膜でも4回対称の面内磁気異方性が見られた。これはfccCoあるいはhcpCoの結晶磁気異方性によるものと思われる。 (100)配向したAg下地層上にスパッタしたCo-Pt及びCo-Au合金膜の構造と磁気異方性:NaCl (100)単結晶基板上に銀(Ag)をスパッタした。基板加熱無しでも(100)配向したAg下地層が得られた。この上にCo-Pt及びCo-Au合金膜をスパッタした。Pt含有量が40%以上のCo-Pt合金膜は(100)配向したが、Co-Au合金膜は組成に関係なく無配向であった。Co-Pt合金膜でもCo-Au合金膜でも垂直磁気異方性は組成に関係なく負であった.また、(100)配向したCo-Pt合金膜では4回対称の面内磁気異方性が見られた。
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