研究概要 |
BTO結晶は固相約1400℃に相転移点を持ち、融液を冷却固化しただけでは育成できない。フラックス(溶融助剤)を用いて1400℃以下で低温相の育成が行われているが、結晶内へのフラックス混入の問題が生じている。本研究では融液内に存在するTiとBaの存在比を変えることにより融点を下げるセルフ-フラックス法を採用し結晶成長を試みた。 カンタルヒーター線を用いた内径100mm,高さ300mmのヒーターエレメントを製作した。ヒーター線は上中下と、3回路で構成されており、それぞれ独立に温度コントロールを行えるようにした。3台のPID温度コントローラーを用いて制御を行った結果、動作温度1400℃において、中央部の20cmにわたって、空間的な温度変動は1℃以内に押さえることができた。また、時間的な温度変化も、温度リップルにして1℃以内に押さえることができた。 直径40mmの白金るつぼに、合成後の溶液の完全融解温度が1360℃となるよう、組成比33:67(モル比)で、酸化バリウムと酸化チタン粉末を混合したものを入れ、1380℃で加熱融解しその後1322℃まで0.5℃/hrの割合で徐冷し、結晶育成を行った。約2〜3mm程度の黄色みがかった透明な結晶が得られた。結晶の外形は、きれいな自然面(ファセット)で囲まれていた。 得られた結晶をX線回折によって調べた結果、双晶や、他の構造の混晶のはなっていないことが確かめられた。また、出力0.5Wのアルゴンレーザー光をレンズで絞り、育成した結晶のファセットの一つからから入射し、他のファセットから出射させスクリーンに投影した状態でレーザーパワーを、0.5Wから2Wまで上昇させると、スクリーン上でのレーザー投影位置が移動し、強いフォトリフラクティブ効果を有していることが確認できた。
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