フォトリフラクティブ結晶にレーザー光を入射し、3次元的に生じる屈折率変化を情報として利用するニューロコンピューターは、記憶密度が1ccの結晶体積あたり、テラ(10^<12>)ビットといわれ、画像を画像そのものとして捉えるために膨大な情報量を処理出来ることとなる。現在、入手可能な結晶の品質が悪いため研究推進の障害となっており、高機能な材料の開発が期待されている。 BaTiO_3(チタン酸バリウム)結晶はフォトリフラクティブ特性を有する結晶の中でも性能指数が極めて高く、応答速度も十分速い優秀な特性を有する。しかしながら、現在、結晶育成に関する学術レベルでの研究に乏しく、現在数mm角の結晶が、国内外2〜3社から少数個供給可能なものの結晶品質がそろわず事実上精密な画像演算の基礎実験すら難しい状態である。本研究は、良好な素子製作をにらみ、素子の世界に先駆けてBaTiO_3結晶の育成技術を確立しする事を目的に、特に高品質化へのキ-を探すということをポイントに実験的研究を行った。 まず、バルクタイプの結晶育成について行った研究成果について報告し炉内温度変動を極力抑えることにより高品質化がはかれるであろうことを見いだした。また、エキシマレーザーを用いた独自の薄膜結晶成長法を提案し、薄膜化による高品質化の研究を行った。その結果、従来法で問題となっていた不良粒子混入をさける手がかりを見いだした。最後に、BaTiO_3結晶が約120℃に相転移点を有し、基板温度を上げる従来のコーティング法が使えないことから、基板温度を上げないで出来る全く新しいコーティング法の開発を行い、有用性を示した。
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