本研究は、[1]同軸線路形マイクロ波プラズマ作製装置にマイクロ波電界と平行に直流磁界を印加して、プラズマの管壁方向への拡散を抑えることにより、放電の安定化を計るとともに電子密度の高濃度化を計ること、さらに[2]本装置に膜堆積室を接続し、かつ膜堆積室内には直流磁界もマイクロ波電力も入らないように設計し、膜堆積室内にエネルギーの注入されていない空間的アフタ-グロープラズマを作成し、低温で、静かなプラズマ中でCVDを行うことを目的としている。 平成7年度には比較的放電しやすいArガスとN_2ガスを用い、主として放電実験を行い、従来無磁界では放電が不安定となり、電子密度が低下してしまうような、低ガス圧でも安定で、かつ高電子密度のプラズマが得られることを明らかにした。さらに、比較的放電しにくいH_2ガスにおいても同様の実験を行い、H_2ガスにおいても安定で、かつ高電子密度のプラズマが得られるという見込みを得て、初期の目的[1]を達成した。 平成8年度には、主として膜堆積に注目して実験を行い、Arガス、N_2ガスを用いた場合には無磁界の場合と比較して、膜質を劣化させることなく、より高速な膜堆積を行えることを明らかにした。さらに、H_2ガスの場合には、無磁界では電子密度が低いため、a-Si:H膜の堆積速度はかなり遅いものであったが、約1400ガウスの磁界印加により、安定でかつ高電子密度のプラズマが得られ、7Å/sとい高速の膜堆積が行えることを明らかにし、目的[1]、[2]を達成した。
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