1.磁性流体の光学定数の測定 流体をホスト、固体をゲストとする複合材料として、直径100Å程度のフェライトの微粒子を含有する磁性流体を取り上げ、波長0.6〜1.6μmの可視・近赤外域における光学特性を調べた。流動パラフィンとケロシンを溶媒とする2種類の磁性流体は、いずれも波長0.8μm付近で吸収係数が最小になることがわかった。また、この波長域における屈折率は、流動パラフィンを溶媒とするとき1.64〜1.69の間で、ケロシンを溶媒とするとき1.55〜1.63の間で変動することがわかった。これらの実験値は、溶媒と微粒子の屈折率や濃度から誘起媒質理論を用いて計算した値とほぼ一致した。 2.磁性流体を用いた光スイッチの製作 磁性流体の流動性を利用した光スイッチを試作した。500μmの間隔で向かい合ったスライドガラスの間に磁性流体を入れ、磁界によって移動させることにより光のスイッチングができた。また、磁性流体がスライドガラスに吸着するのを防ぐために、フッ素樹脂をガラス上にコートすることが効果的であることもわかった。 3.液晶を封入したアルミナ膜の光学特性 固体をホスト、液体をゲストとする複合材料として、陽極酸化法で製作した多孔質アルミナ膜の微細孔中に液晶を封入した複合膜を製作し、光学特性を調べた。液晶が直径約2000Åの柱状孔中で特異な配向を示すため、異方性をもつ大きな光散乱が生じ、偏光特性が現れることがわかった。また、液晶の配向状態を変えることにより、光透過特性を制御できることもわかった。
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